妊娠中に子宮筋腫が見つかったら
妊娠中に子宮筋腫が見つかることはよくあることです。
妊娠すると、女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌が急減に増えるので
それにつれて子宮筋腫も急激に大きくなります。
それまでに気づかなかった子宮筋腫に、
妊娠してはじめて気づくケースが多いのはそういう理由です。
筋腫が見つかったとしても、ほとんどの場合、
妊娠中に大きな問題が起こることはなく、
特別な処置は行わずに経過観察だけになることが多いでしょう。
ただ、筋腫は大きくなることで性質や症状が変わる場合があります。
大きい筋腫では流産になる確率が高くなるという報告もあり、
また、一般的な早産率が5%なのに対し、子宮筋腫がある人の早産率は
9%というデータもあります。
受精卵が子宮筋腫の上に着床したために、胎盤の早期剥離が起こることもあります。
筋腫が原因で痛みが強くなると、それが引き金となって子宮が強く収縮し、
最悪の場合、流産や早産につながります。場合によっては入院管理が必要です。
いずれにせよ、妊娠したら検診はきちんと受けて、無理のない生活をおくることが大切です。
赤ちゃんへの影響
妊娠して筋腫が見つかると、一番気になるのは赤ちゃんへの影響がどうなるのか、ということではないでしょうか。
胎児へつながる血管と筋腫につながる血管は、
同じ動脈から枝分かれしたものになります。
胎児はお腹の中で血管から栄養をとっているので、
筋腫に栄養を取られると、赤ちゃんに行き渡らないのではないか、
と心配になりますが、血管は十分に太いので、
栄養素が筋腫にとられて、胎児が栄養不良になってしまう、
ということはありません。
また、大きな子宮筋腫が胎児を圧迫して、胎児の成長を妨げる、
ということもありません。
妊娠前の筋腫は、弾性はあるものの、少し硬い腫瘍ですが、
妊娠が進むにつれて柔らかく変質していくからです。
最終的には、つきたての餅ぐらいの柔らかさになるので、
子宮と一体化して胎児を圧迫することはありません。
子宮筋腫は妊娠するとエストロゲンの影響で、
急成長することが多いのですが、これは妊娠初期だけで、
中後期には変性が起こって、むしろ小さくなることが多いのです。
> 子宮筋腫の変性
筋腫は変形することもありますが、胎児はそれに合わせて
上手に自分の位置を調整し、過ごしやすい位置に収まって成長します。
逆子や横位になることはあっても、成長に関して言えば、ほとんど心配いりません。
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