子宮動脈塞栓術(UAE)
子宮動脈塞栓術(UAE)とは、子宮動脈の血流を絶ち、
子宮筋腫に栄養や酸素が行き届かないようにすることで、
子宮筋腫を小さくする方法です。
子宮筋腫は、子宮動脈から栄養補給されていますが、
この手術では、子宮動脈にスポンジ状のゼラチン(塞栓物質)
で栓をすることで血流を止めます。
ゼラチンは、1ヶ月ほどで体内に吸収されます。
子宮動脈塞栓術は、子宮筋腫を小さくすることが目的で、
筋腫を根治することはできません。
栄養と酸素を断たれた筋腫は、3ヶ月で50%、
6~12ヶ月でぐらいの容積まで縮小します。
筋腫の縮小により、子宮過多や子宮困難症などの症状は
改善しますが、中には筋腫の縮小が十分でなく、
症状が改善しないこともあり、別の治療が必要となることも
あります。
子宮動脈塞栓術が適応する人
- 子宮筋腫の症状(過多月経や妊娠困難症など)がきつく、
手術が必要だが子宮は残したい人 - 妊娠していない人
- 今後妊娠を望まない人
- 心臓や脳に疾患があり、開腹などの手術が困難な人
- 造影剤にアレルギーのない人
子宮動脈塞栓術は、新しい治療法なので、
術後10年以上のデータが無く、妊娠にどのような影響が
あるのかよくわかっていません。
安全性が確立されていないので、子供がほしい人には
現状ではすすめられない方法です。
子宮動脈塞栓術の治療内容
最初にX線で下腹部の血流を確認します。
局所麻酔または硬膜外麻酔をかけて、
太もものつけ根を小さく切開し、
X線モニターで確認しながら、カテーテルと呼ばれる
細い管を子宮動脈に挿入していきます。
カテーテルから造影剤を注入し、
造影剤が血流に乗って流れる様子をX線で撮影することで、
血管の分布や形が分かります。
次に子宮動脈へ塞栓物質を注入して動脈をふさぎます。
身体の他の部分に塞栓物質が流れ込まないように、
筋腫へ向かう動脈に確実に入れないといけません。
子宮動脈は左右1本ずつあるので、反対側の動脈にも
同じように入れていきます。
麻酔から塞栓までほぼ1時間ぐらいで手術は終了します。
終了後はカテーテルを抜いて、止血のために傷口を圧迫します。
傷は小さいので縫うほどではありません。
術後は、ゼラチンが完全に動脈をふさぐまで、
6時間ぐらい寝たままで圧迫する必要があります。
子宮動脈塞栓術の副作用
手術後は血液が流れなくなるために、月経痛に似た
強い下腹部痛があります。
痛みは半日から1日ぐらい続きますが、
3~5日間の入院期間中には軽減します。
治療後1週間ぐらいまで、発熱や吐き気、頭痛、倦怠感、
食欲不振などの症状を感じることがあります
また、筋層内筋腫や粘膜下筋腫でごくまれに、
術後に筋腫部分が子宮内腔へ飛び出してくることがあります。
この場合、すぐに手術で筋腫を摘出しないと、
感染が起こって細菌が体内に入り、敗血症になる場合が
あるので注意が必要です。
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