子宮筋腫の種類
子宮筋腫は、子宮頸部よりも子宮体部にできるものがほとんどです。
但し、筋腫ができる位置はさまざまで、できる位置により大きく3つのタイプに分類されます。
筋腫がどこにできるかによって、症状や治療法が違ってきますので、子宮筋腫の種類を知ることは、治療方針を決める上でも大事なことです。
筋層内筋腫(きんそうないきんしゅ)
子宮の筋肉(子宮筋層)の中にできる筋腫で、最も多く見られ、子宮筋腫全体のおよそ6割から7割がこのタイプです。
小豆大のものから、鶏卵大、こぶし大と大きさもさまざまです。
いろいろなところにいくつもできやすく、大きく成長しやすいのが特徴です。
筋腫が小さいうちは自覚もなく、ほとんどが無症状ですが、大きくなると子宮内腔まで張りだして、子宮腔を引き伸ばします。
そうなると子宮内膜内の面積も増えるので、それに比例して月経の量が増えたり(過多月経)、期間が長くなったり(過長月経)という月経異常を招きます。
月経量が多いとレバー状や寒天上の血のかたまりが混じることもあり、また貧血になることもあります。
粘膜下筋腫(ねんまくかきんしゅ)
子宮の内側をおおう子宮内膜という粘膜のすぐ下にできる筋腫です。
発生頻度は1割と少ないのですが、一番症状が強くでやすいタイプです。
子宮筋腫には血管が集中して張りめぐらされるのですが、粘膜下筋腫は、それが子宮内部に突き出るように成長するので、小さなものでも月経量が多く(過多月経)、長く(過長月経)なります。
また、月経に関係なく、黄色く水っぽい帯下や不正出血が続いたりします。
粘膜下筋腫のために子宮内壁がでこぼこになると、受精卵が着床しにくくなり、結果として不妊の原因にもなります。
粘膜下筋腫の一種として、根本に茎ができて子宮内部にぶらさがるようにして成長する筋腫があり、特に有形粘膜下筋腫と呼ばれます。
人間のからだは体内の異物を外に吐き出そうとする性質があるので、月経のたびに子宮内の有形粘膜下筋腫を外へ押し出そうとして、強い子宮の収縮がおこり、まるで陣痛のように強い傷みを引き起こすことがあります。
この収縮で筋腫が子宮口から膣へ飛び出した状態を、筋腫分娩(きんしゅぶんべん)と呼びます。
このような状態になると、月経期間にかかわらず出血がだらだらと続きます。さらに感染が起こってしまうと、膿の混じった血液が大量に出てくることもあります。
漿膜下筋腫(しょうまくかきんしゅ)
子宮の表面をおおっている漿膜の下にできる筋腫です。
子宮筋腫の約2割がこのタイプです。
子宮の外側にコブのように突き出て成長します。たくさんできて、イクラや八頭のようになるケースもあります。
このタイプの筋腫は子宮を変形することは少なく、比較的大きな筋腫ができていても子宮内膜を圧迫しないので、
月経過多などの症状があらわれずに気づきにくい、という特徴があります。
けれども筋腫が大きくなると、周囲の器官を圧迫し、さまざまな症状を引き起こすことがあります。
膀胱や尿道を圧迫すると頻尿や尿がでない尿閉になることがあります。また、直腸を圧迫して便秘になったり、腰椎を圧迫して腰痛をひきおこすこともあります。
有茎漿膜下筋腫は、極めてまれですが、茎がねじれてしまうことがあり、その場合は血液が筋腫に行き渡らなくなって激痛を引きおこします。
そのほかの筋腫
ごくまれですが、子宮頸部に筋腫ができることがあり、そのような筋腫を子宮頸部筋腫と呼びます。
大きくなると頻尿や下腹部痛、腰痛といった症状があらわれることもあり、また性交時に痛みが生じることもあります。
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