子宮をとるか、とらないか
子宮筋腫を完全に治すには、手術で子宮を取ってしまう(全摘)しかありません。
しかし、筋腫の治療のためとはいえ、子宮をとってしまうことに何の抵抗もない女性はほとんどいないことでしょう。そもそも子宮は女性を象徴する臓器なので、それを簡単にとってしまってもいいものなのか、そういう疑問は当然あると思います。
少し前までは、子宮筋腫がある程度の大きさになると子宮全摘術といわれていた時代もありましたが、その考え方はあまり根拠がなく今では通用しません。
現在では女性が社会に進出したことで晩婚化が進んでいることもあり、将来のために子宮を温存したいと思っている女性の数は確実に増えています。そういった女性の希望に沿うように、今ではできるかぎり子宮を残す方向で治療が行われるようになっています。
子宮を残すと再発の可能性がある
けれども、そんな今だからこそ知っておいてほしいことがあります。それは、子宮を残したままで子宮筋腫だけを取る処置(核出術)では、将来に筋腫が再発するリスクが残ってしまうということです。
将来、妊娠を希望するという明確な理由があれば、子宮を残して再発したとしてもやむを得ないと考えることができるでしょう。でも、妊娠を希望しないのに、ただ単に「子宮を残したい」ということで温存することを選んだ場合、数年後に筋腫が再発したときに後悔しないとも限らないのです。
子宮を温存することを選ぶ場合は、数年後に再発して再手術になる可能性があることをよく認識し、その選択をあとから後悔しないようにしなければいけません。
全摘も一つのベストな方法
必要もないのに子宮を失うことは避けなければいけませんが、全摘が最善の選択である場合もあります。
子宮肉腫が疑われる場合や、子宮腺筋症を合併しているとき、筋腫が多発性で将来再発する可能性が非常に高い場合などは、全摘がすすめられます。
それ以外で子宮温存を希望する場合は、医師は出来る限りのことをして子宮を温存しようとしてくれます。子宮を残すか残さないかの選択は、医師ではなく患者さん自身が決めることです。
だからこそ子宮を残すか、取ってしまうかはよく考えて決めてほしいのです。
いろいろな事情を考えて全摘することがベストと考えるなら、それも一つの正しい選択肢であるはずです。単に全摘がダメといった固定観念だけで子宮を温存するのではなく、筋腫の状態やいろいろな事情を冷静によく考えてから結論を出してほしいと思います。
全摘したことでつらい症状から開放されて、かえって女性らしさを取り戻し、はつらつと生活されている人も大勢います。そういった人々の姿が、全摘も一つの賢い選択であることを証明しているのだと思います。
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