子宮筋腫のホルモン療法
子宮筋腫の成長は、女性ホルモンと密接な関係にありますが、
体内のホルモンバランスを薬で制御して、子宮筋腫の成長を
抑える治療法が、ホルモン療法です。
子宮筋腫の場合は、筋腫の発育に関係するエステロゲンの
分泌を抑える効果のあるGnRHアゴニストというホルモン剤が
処方されます。
GnRHとは、性腺刺激ホルモン放出ホルモンと呼ばれる
ホルモンで、脳の視床下部から分泌されます。
GnRHアゴニストは、このGnRHの分泌を抑制する薬で、
この作用により卵巣のはたらきが抑えられて、
エストロゲンの分泌が少なくなり、月経を止め、
筋腫の成長を妨げます。
GnRHアゴニストは、とても良く効く薬ですが、
いろいろな副作用があり、長期間にわたって使えません。
連続使用は長くても6ヶ月までとなっています。
ただし、月経が再び規則正しくなり、病状が再発したら
再び使用することは可能です。
GnRHアゴニストの副作用
- ホットフラッシュ
- 発汗
- ほてり
- のぼせ
- 肩こり
- 頭痛
- 不眠
- 気分の落ち込み
- イライラ
- 骨粗しょう症
- 関節リュウマチのような症状
GnRHアゴニストは、このような副作用があるほか、
使用を止めると、月経が再開し、すぐに筋腫が元の
大きさに戻ってしまうため、
短期間の使用で有効に活用できる場合にのみ使用されます。
閉経が近い人で、逃げ切り療法のために使用したり、
核摘出手術を予定している人で、手術前に筋腫を小さくして
おきたいとき、また手術前に過多月経による鉄欠乏性貧血を
改善しておきたい場合などに有効です。
GnRHアゴニストの主成分はタンパク質でそのまま服用すると
胃酸で消化されるので、皮下注射や点鼻薬として使用します。
効き目は注射剤の方が強く、点鼻薬は吸収量が少ないために
穏やかに効きます。
注射剤は4週間に1回皮膚注射し、点鼻薬は毎日スプレーします。
GnRHアゴニストを使用すると、投与して2週間ぐらいで
月経のような出血が起こることがあります。
これはエストロゲンの低下が原因で、薬が効いてきた目安になります。
1~2ヶ月後には月経が止まり、それとともに筋腫は次第に小さくなって、
3ヶ月ぐらいで半分ぐらいの大きさになります。
使用をやめると再び月経がはじまり、筋腫も2~3カ月で
元の大きさになります。
GnRHアゴニストの種類
種類 | 一般名 | 製品名 | 使用方法 |
点鼻薬 | 酢酸ブセレリン | スプレキュア® | 月経1~2日目から1日3回 左右の鼻にスプレー |
酢酸ナファレリン | ナサニール® | 月経1~2日目から1日2回 片側の鼻にスプレー |
|
注射剤 | 酢酸ブセレリン | スプレキュアMP® | 月経1~5日目から4週間に1回 皮下注射 |
酢酸リュープロレリン | リュープリン® | 月経1~5日目から4週間に1回 皮下注射 |
|
酢酸ゴセレリン | ゾラデックス® | 月経1~5日目から4週間に1回 皮下注射 |
ナサニール®、ゾラデックス®は、子宮内膜症のみ保険適用となり、
子宮筋腫で保険の適用はありません。
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