集束超音波療法(FUS)
集束超音波療法(FUS)は、子宮筋腫にピンポイントで
高周波の超音波を照射して筋腫組織の細胞を焼き、
壊死を起こして筋腫を縮小する治療法です。
治療は、MRIで患部を確認しながら、画像分析を行い、
患部の位置や温度の上昇をリアルタイムで確認しながら
行われます。
おなかを切らないので手術による傷あとができず、
子宮も温存できます。
ただし筋腫を小さくして症状を改善することが目的で、
筋腫を根治するための治療法ではありません。
子宮筋腫の縮小効果は、子宮動脈塞栓術(UAE)には
劣りますが、一度小さくなった筋腫が再び大きくなる
ことはなく、だいたい半年ほどで組織に吸収されて
出血や痛みなどの症状も改善されます。
入院の必要がなく、半日の治療でその日に帰宅できるのも
大きなメリットです。
集束超音波療法が適応する人
- 子宮筋腫の症状(過多月経や妊娠困難症など)がきつく、
手術が必要だが子宮は残したい人 - 妊娠していない人
- 今後妊娠を望まない人
- 子宮筋腫の大きさが3cm~10cm
- 子宮筋腫の数は1回の治療で3個以下
- 子宮がんや卵巣がんなどの悪性疾患がない
- MRI検査が可能である
- 下腹部に過去の手術跡が無い(横切開なら可能なことも)
- 対象の筋腫が骨や神経から4cm以上離れている
集束超音波療法は、新しい治療法なので、
術後10年以上の長期間のデータが少なく、
妊娠にどのような影響がでるのかがよくわかっていません。
安全性は証明されていないので、将来妊娠を希望する人には
強くすすめられない治療法です。
適応条件が限られていて、設備が整っている病院や施設も
現状では少ないので、実際にこの治療を受けられる人は
それほど多くはありません。
集束超音波療法の治療内容
毛の周辺は、気泡を生じて超音波照射の精度が悪くなるので、
治療前には下腹部を剃毛します。
また膀胱に尿がたまると子宮の位置がずれるので、
膀胱にはカテーテルという細い管を入れて、たまった尿を
取りながら処置をすすめます。
患者さんはMRIのベッドにうつぶせになり、腹部の下から
筋腫の部分に向けて超音波を照射します。
MRIで確認しながら、20秒ほどの照射で5mmぐらいの筋腫を
焼いていきます。
超音波の照射により、患部に少し熱さや痛みが起こりますが、
苦痛というほどにはなりません。
全体の治療時間は、3~4時間ほどと長めですが、
その間、患者さんは寝ていればいいので楽です。
集束超音波療法の副作用
ごくまれに軽いやけどが起こることがあります。
治療後に、腹痛や吐き気が起こることがあります。
坐骨神経に沿って、一過性の軽いいたみやしびれが
起こることがあります。
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