子宮筋腫の変性
子宮筋腫は大きく成長するばかりではなく、逆に小さくなることもあります。
例えば、閉経後はエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌量が少なくなり、それが原因で筋腫が小さくなることはよくあることです。
けれども、閉経前で、エストロゲンが分泌されているにもかかわらず、筋腫が小さくなることもあります。
これは子宮筋腫の細胞が死滅することが原因で、このことを「変性」と言います。
変性は、子宮筋腫全体の半数以上のケースで起こる現象で、特に5cm以上の大きな筋腫では、ほとんどの場合に起こります。
変死が起こる原因は、筋腫の血行障害によるものです。
子宮筋腫ができると、周辺から毛細血管が張りめぐらされ、血液から栄養を補給して成長していきます。筋腫が小さいうちは全体に栄養が行き渡り、どんどん大きくなりますが、ある程度の大きさになると、筋腫の中央まで栄養が行き渡らなくなり、栄養を断たれた筋腫細胞は中央から死滅していくのです。
変性が起こると、筋腫細胞は固いコラーゲン繊維に変化したり、中に水がたまって水泡状になったり、カルシウムが沈着して石灰化し、カチコチに固まったりすることもあります。
このような場合、多くの子宮筋腫は小さくなります。一度変性して小さくなった子宮筋腫が、再び大きくなることはありません。
ただ、変性が起こっても、その範囲が狭い場合は、筋腫核は成長を続ける場合もあります。
子宮筋腫の変性は、特に妊娠中や更年期に起こりやすいものです。
妊娠中はエストロゲンの分泌が増え、その影響をうけて子宮筋腫が急激に大きくなることが多いので、筋腫の成長に栄養補給が追いつかず、変性を引き起こします。
出産後に子宮筋腫を摘出する予定だった人が、妊娠中に変性をおこしたために、筋腫が小さくなり、手術の必要がなくなる場合もあります。
更年期では、血流が悪くなるために変性が起こると考えられています。
子宮筋腫の変性による痛み
子宮筋腫の変性が原因で、腹痛が起こることがあります。
痛みの程度は人それぞれです。まったく傷みを感じない人もいます。
一般的には、傷みは数日から数週間で治まります。
まれに感染症が起こる場合もありますので、腹痛が起こったら、念のため診察を受けたほうがいいでしょう。
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