子宮筋腫の腹腔鏡下手術

腹腔鏡下手術は、おなかに3~5箇所の小さな穴をあけ、
その穴から腹腔鏡(内視鏡の一種)や鉗子(かんし)などの
器具を入れて、行われる手術方法です。

腹腔鏡は一般に直径5mmの棒状の器具で、先端にはカメラが
取り付けられており、子宮内部の様子をモニターに映し出せる
仕組みになっています。

医師はその映像を見ながら、別の穴から入れた鉗子と呼ばれる、
はさんだり切ったりするための細かい操作を行える器具を操作して、
癒着の剥離や、子宮・子宮筋腫などの組織の切断、止血などの
処置をします。

切断した組織の回収もおなかにあけた穴から行いますが、
そのままでは穴から取り出せないものは、腹腔内で細かく
砕いてから取り出します。
子宮全摘術で子宮そのものを切断した場合は、膣から取り出します。

このような作業は全て腹腔内で行われるのですが、
腹腔はそのままでは狭いので、手術前に炭酸ガスを腹腔内に
入れておなかをふくらませるか(気腹法)、
外から腹壁を吊り上げるか(腹壁吊り上げ法)して、
空間を確保しておきます。

腹腔鏡下手術の適応条件

腹腔鏡下手術は、核出術全摘術の両方で行えますが、
特に腹腔鏡下の全摘術は難易度が高く、腹腔鏡補助の膣式手術よりも
難しくなります。

子宮筋腫が大きくなっている場合は、内視鏡の先端まで
子宮が迫って、十分な視野が得られないので、
安全のため開腹手術がすすめられます。

腹腔鏡下手術は一般的に下記のような条件で適応されます。

  • 子宮筋腫以外に症状がない
  • 筋腫以外の病気があるが、腹腔鏡下手術に適応している
    (卵巣嚢腫、子宮内膜症など)
  • 筋層内筋腫で核の直径が10cm未満
  • 漿膜下筋腫で核の直径が15cm未満
  • 筋層内筋腫の数が10個未満
  • 子宮の大きさが小児頭大以下(妊娠16週ぐらいまで)

腹腔鏡下手術のバリエーション

腹腔鏡下子宮筋腫核出術(LM)

子宮筋層の切開、筋腫の核出、縫合、回収を
全て腹腔鏡下で行う方法です。
傷は最も小さく、術後の回復も速いです。

全腹腔鏡下子宮全摘術(TLH)

切断・縫合は腹腔鏡下で行い、切断した子宮は
膣から摘出する方法です。

腹腔鏡補助下膣式子宮全摘術(LAVH)

子宮上部の靭帯の切断や癒着の剥離は腹腔鏡下で行い、
子宮下部の靭帯切断や子宮の摘出、縫合は膣から行う方法です。

腹腔鏡補助下子宮筋腫核出術(LAM)

腹腔鏡を入れる穴以外に、おなかを小さく(3~5cmぐらい)切開し、
子宮筋腫の核出や縫合をその小切開した穴から行う方法です。

癒着が少なく、不妊症になりにくい

核出術の場合は、癒着が起こりやすいのが欠点ですが、
腹腔鏡下手術は開腹手術よりも、癒着が起こりにくい、
というメリットがあります。

子宮や卵巣・卵管にあたえるダメージが、開腹手術に比べて
少なくなるので、癒着が原因の不妊症にもなりにくくなります。

腹腔鏡下手術を受けられない場合もある

腹腔鏡下手術はメリットが多く、希望する人も多いのですが、
どこの施設でも可能な手術ではありません。

モニターの映像だけが頼りの狭い視野での手術になるので、
距離感がつかみずらく、また鉗子だけで操作を行うために
医師の高い技術が必要になります。

設備も特別なものが必要なので、かなり限られた手術法です。

子宮筋腫の位置や大きさ、数によっても難易度が大きく
変わってきますので、主治医に無理と判断されることも
よくあることです。

医師に無理と判断されても、どうしても腹腔鏡下手術に
こだわりがある場合は、セカンドオピニオンを受けてみるのもいいでしょう。

ただ、安全性でいうと、どうしても開腹手術には劣るので、
無理に腹腔鏡下手術にこだわらない、ということも大切なことです。

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